女性特有の構造として生殖器と乳腺の構造と仕組みを説明します。生殖(せいしょく)をつかさどる器官を生殖器といい、女性の生殖器は体表にある外性器と体内にある内性器から構成されています。
子宮と外陰部をつなぐ長さ7cmほどの粘膜におおわれた器官です。ふだんは閉鎖していますが、性交や出産のときは筒状に伸展します。腟内では乳酸菌(デーデルライン桿菌)が存在することで酸性(ph3~5)となっており外部から子宮へ病原体が侵入しない環境を維持しています。
疲労やストレスなどで腟内環境が保てなくなると腟分泌物(おりもの)が増加します。病原体の増殖がひどくなると「腟炎」となって腟の粘膜を損傷したり、子宮内に感染がおよぶほか、おりものを介して膀胱炎の原因にもなり得ます。女性ホルモンの分泌が減少すると腟粘膜の潤滑性が失われて損傷し、違和感や少量の出血を認める場合もあります。
外陰部は外側から観察される部位の総称で、以下に構成されます。
膣前庭の下端から肛門までの間にわたる部位です。出産時に大きく伸展します。
子宮は下腹部骨盤内で膀胱の後方、直腸の前方に位置する洋ナシを逆さにしたような形の器官です。妊娠中に大切な赤ちゃんを育む「体部」と、出産まで赤ちゃんが簡単に出てしまわないよう硬く閉ざした出口である「頸部」に分類されます
卵管は子宮体部から左右に伸びる管状の器官で、内腔は子宮内腔に開通し外側は腹腔内に開口しています。
卵巣から排卵された卵子と、腟・子宮を経由してたどり着いた精子が出会い、受精する場所でもあります。卵管は感染や子宮内膜症などにより通過障害や閉塞をきたしやすくなります。
卵巣は子宮の左右に位置し長径2~3cmの楕円球形の器官です。
子宮側と骨盤側の靱帯でハンモックのように支えられています。脳下垂体により制御された女性ホルモンを分泌して女性らしい体格を形成維持し、卵子を成熟・排卵させるなど生殖系内分泌機能をつかさどるはたらきをしています。
適切な母乳分泌をうながす方法や赤ちゃんが安心して吸いやすい抱っこの方法などの指導や支援を得ることで、産後のお母さんの95%以上は母乳育児を成功させることができるといわれています。
セイントマザークリニックでは妊娠期間中から出産前後のお母さんのココロとカラダがどのように変化するか、医学的に十分理解し経験している医師と看護スタッフ・管理栄養士が、お母さんと赤ちゃんの個性を尊重しながら良き話し相手となって全力でサポートいたします。
一人でも多くのかたたちに母乳の大切さやメリットをご理解いただいて、無理なく楽しくかつ充実した育児のスタートができますよう願ってやみません。
「おっぱいはなるべく早く赤ちゃんに吸わせるほどよく出るようになる」「おっぱいを赤ちゃんに吸わせる回数が減ると出が悪くなる」「おっぱいを赤ちゃんに吸わせずに溜めておくと出なくなる」
これらは医学的に解明された事実です。
以下に母乳の産生と分泌およびその抑制に関連するホルモンなどの物質をあげてメカニズムを解説します。
妊娠期間を通じてプロゲステロン値は高く、妊娠を維持するとともに乳房の発達をうながす一方で、プロラクチンを抑制しています。
出産で胎盤が娩出することでプロゲステロン値が低下し、これに反応してプロラクチン値が上昇して母乳が産生されます。
プロラクチン値は出産直後をピークとして徐々に減少(早くて産後7日目、遅くても産後2週間で妊娠前レベルまで減少)してしまいますが、乳頭を刺激するたびに一時的に上昇します。このため頻回授乳はプロラクチン値の維持に必要不可欠です(一日8回以上の授乳が推奨されています)。
児が母親の乳頭を吸う刺激によって急激にオキシトシン値は上昇し母乳が分泌されます(射乳反射)。オキシトシンは同時に子宮収縮をうながす作用もあり、授乳後しばらくは子宮収縮痛(後陣痛)が生じる場合もあります。
オキシトシンは乳頭刺激だけでなく母親が児を見ていたり声を聞いたり、児のことを考えるだけでも分泌がうながされるようになります。それだけでなく、オキシトシン値の上昇により母親の児に対する愛着行動が促進されることが知られており、オキシトシンは「愛着ホルモン」とも言われています。
さらにはストレスに対する耐性を強化する作用もあり一般に授乳中の女性は交感神経系の反応が少ないとされています。その一方で母親が不安などの精神的ストレスや疼痛刺激などを感じると、オキシトシン値が低下して母乳分泌が減少する恐れもあります。
乳汁中には乳汁産生抑制因子(ホエイ蛋白)が含まれることが知られています。これは乳汁が長時間乳房内にとどまっているとその濃度が上昇して乳汁産生が低下してしまいます。つまり出来るだけ授乳後に乳房内に乳汁を残さないことが次回授乳までの乳汁産生にとって重要といえます。したがって、児が直接に母親の乳頭を吸えない場合や飲み残しがあるときは搾乳(乳房からたまった乳汁をしぼりだすこと)が必要となります。
細菌性髄膜炎・中耳炎・呼吸器感染症・下痢・壊死性腸炎・尿路感染症・菌血症
※母乳に含まれるオリゴ糖が腸粘膜をコーティングして細菌の侵入を防ぐほか、母体から移行した『分泌型免疫グロブリンA』がウィルスや細菌を捕まえて増殖を防いでいます。
肥満・糖尿病・高コレステロール血症・喘息・白血病
幼児虐待・少年犯罪・少年院収容などの背景に母乳哺育率で差が認められます。
人工乳の提供に必要な各種備品(哺乳びんや消毒器具)、お湯、電気・ガスなどの不備に強い。
乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防が期待できる。